AFP
α-FP
項目名称
α-フェトプロテイン
臨床的意義
- 肝細胞癌,肝芽腫,転移性肝癌や卵黄嚢腫瘍患者の血清中で増加するため,主にこれらの疾患の診断や治療効果のモニタリングおよび再発の指標に用いる.
- 高値を示した場合,慢性肝炎や肝硬変と肝細胞癌との鑑別が問題になる.近年,各種画像診断法の進歩とhigh risk groupにおける定期検査の普及で早期発見率が高まっている.その結果,肝細胞癌と診断された症例の約70%がAFP値200ng/ml以下といわれている.特に腫瘍径が2cm以下の早期肝細胞癌では,半数以上が100ng/ml未満である.慢性肝炎や肝硬変症例でAFP値が上昇する場合,約80%が400ng/ml以下,約60%が200ng/ml以下であるため,肝細胞癌との鑑別に苦慮することが少なくない.したがってhigh risk groupでは定期検査における測定値の推移や各種画像診断法の結果に基づき,総合的に判断する必要がある.
- 肝細胞癌の前癌病変である慢性肝炎の約20%,肝硬変の約50%でAFP値の上昇がみられる.これらの症例では,非上昇例に比べ肝細胞癌の発生率が高いことから,high risk groupにおける発癌の早期診断にも有用である.
- AFPは1分子当たり1本の糖鎖を有しているが,構造の違いで亜分画が存在する.この糖鎖の差異は,レンズマメ・レクチン(LCA)に対する親和性の違いで判別できる.慢性肝炎や肝硬変と肝細胞癌とではAFPのレクチン親和性が異なるので,鑑別に有用である.
基準値・異常値
基準値 | 10ng/ml以下 |
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高値 |
次に必要な検査レンズマメ・レクチン(LCA)に対する親和性試験やPIVKA-Ⅱの測定を行う. |
予想外の値が認められたとき |
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出典:「最新 臨床検査項目辞典」監修:櫻林郁之介・熊坂一成
©Ishiyaku Publishers,Inc.,2008.
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製品情報
アキュラシード AFP[Ⅱ]
添付文書記載の |
参考基準範囲* 10ng/mL以下(血清) <判定上の注意> ・検体中にヒト抗マウス抗体(Human Anti Mouse Antibody:HAMA)等の異好性抗体や非特異反応物質が存在する場合は、正しい測定結果が得られないことがありますので、測定結果の判定は他の検査や臨床症状等を考慮して担当医師が総合的に判断してください. *遠藤康夫 他:日本臨牀,43(秋季臨時増刊号上巻),421(1985) |
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製品情報
ミュータスワコー AFP-L3・i50
添付文書記載の |
基準値*2,*3 10ng/mL以下 <判定上の注意> ・急性肝炎及び劇症肝炎の検体はAFP-L3%及びAFPが高値を示すことがあります. ・妊婦検体はAFP-L3%及びAFPが高値を示すことがあります。 ・肝細胞癌以外のAFP産生性腫瘍ではAFP-L3%あるいはAFPが高値を示すことがあります. *2青柳 豊,須田剛士,河合弘一,田村 康,五十嵐正人:日本臨床,68,665-669(2010). *3中村進一郎,白鳥康史:臨床検査ガイド2011~2012,887-891(2011). |
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